指揮ルール
- 1.概要
-
現在のME版ルールには指揮ルールがないので、廃止されたME版ルール(2011年に
Halleの戦いがリリースされた時にはあつたもの)とCOA版ルールを参考に作成した。
- 1)基本的な考え方
- A)模擬するのは、指揮官がいない時の戦闘部隊のやる気のなさである。
- B)指揮官は、参謀などを含めた司令部機能を意味する。
- C)シミュレーション精度よりもプレイし易さを優先する。
- 2)既存ルールとの違い
- A)指揮官個人の能力差は模擬しない。
廃止されたME版ルールのような能力(Capacity)、COA版のようなCP(Command Point)は、
持たせない。⇒プレイ時間を短くする為。
- B)チットは使わない。
部隊の移動順序はプレイヤーの自由とする。⇒プレイ時間を短くする為。
- C)指揮レベルは、有無の2種類とする。
廃止されたME版ルールのような、最高指揮下、局所的指揮下、指揮下にないの
3分類はしない。⇒プレイ時間を短くする為。
- 2.適用する段階
-
各段階(フェーズ)で本ルールを使う。
- 1)指揮フェーズ
- A)指揮下にあるかどうかの判定は、指揮フェーズで行う。
- B)直属上位指揮官の指揮範囲内にいれば指揮下にあり、範囲の外にいれば指揮下にないとする。
なお、一部の例外については3項の詳細ルールを参照。
- C)指揮範囲は、部隊規模/国別/交代有無により以下とする。
(注)軍:右翼、左翼などで複数の軍団を指揮する場合を含める。
- 正規:部隊編成時の指揮官、 交代:正規指揮官の死傷により交代した指揮官。
- 直轄部隊:軍団直属の砲兵部隊、騎兵部隊など。
-
部隊の規模に伴う指揮範囲
部隊の規模 |
フランス |
左記以外 |
正規 |
交代 |
正規 |
交代 |
軍 |
20 |
16 |
16 |
13 |
軍団 |
12 |
10 |
10 |
8 |
師団 |
6 |
5 |
5 |
4 |
旅団、直轄部隊 |
4 |
3 |
3 |
2 |
- 2)移動フェーズ
指揮下にあるかどうかで、次のように区別する。
なお、直属下位の指揮官も戦闘部隊と同じ扱いとする。
-
指揮下のあるなしに伴う移動制限
制限項目 |
指揮下にある |
指揮下にない |
移動力 |
印刷値 |
印刷値の半分(切り捨て) |
移動目標 |
任意 |
指揮官HEX または 進入口(指揮官不在時) |
敵への移動 |
移動できる |
移動禁止(*1) |
(*1)敵のZOCにも入れない。なお、既に敵のZOCに入っていた場合は、そこから
後退するか留まるかはプレイヤーが戦況を見て判断する。
- 3)騎兵突撃、射撃、白兵戦フェーズ
指揮下にあるかどうかで、次のように区別する。
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指揮下のあるなしに伴う騎兵突撃・射撃・白兵戦の可否
制限項目 |
指揮下にある |
指揮下にない |
騎兵突撃 |
可能 |
禁止 |
防御射撃 |
可能 |
可能 |
攻勢射撃 |
可能 |
禁止 |
臨機射撃 |
可能 |
可能 |
白兵戦(攻撃) |
可能 |
禁止 |
白兵戦(防御) |
可能 |
可能 |
- 3.詳細ルール
- 1)指揮の独立性
- 指揮官が直属上位指揮官の指揮範囲外にあっても、自分の部隊か直属下位指揮官
に対しては指揮できる。指揮官だけが、指揮範囲外の制約を受ける。
- (例)歩兵師団長が軍団長の指揮範囲外に居ても、自分の指揮範囲内に居る
連隊・大隊・砲兵中隊は指揮下にある。
但し、旅団長が居る場合には、旅団長だけ指揮する。その旅団の部隊は、
旅団長の指揮範囲内かどうかで決まる。
- 2)指揮判定の例外
- 上位指揮官の指揮範囲外に居る指揮官でも、次の条件のどれかに
当てはまる場合には、指揮下にあるとみなす。
- A)独立部隊指揮官
- 左翼、右翼、守備隊など最高指揮官から離れて行動する部隊の指揮官。
但し、その任務(目的、目的地)はゲーム開始時に決めておく。
任務を変更する場合には、伝令ルールを使う。
ゲーム途中で独立部隊を編成する事が可能である。指揮フェーズで指揮官を決め、
移動フェーズ以降は指揮下にあるもと見なす。
- B)増援部隊と指揮官
- 増援で登場する部隊と指揮官は、直属上位指揮官に合流するまで指揮下にあると見なす。
但し、敵を見つけても直ちに攻撃する事はしない。プレイヤーが次のどちらかを選択する。
- a)直属上位指揮官に合流する。
- b)最高指揮官から伝令を出して、独立部隊にして攻撃を命じる。(伝令ルールを使う。)
但し、指揮官がいない部隊は、上記a)とする。
- C)軽騎兵指揮官
- 軽騎兵師団、旅団の指揮官は、次の条件を全て満足すれば一時的に指揮下にあるとみなす。
なお、1ターンのみ有効であり、各ターン毎に判定ができる。
(判定するかどうかはプレーヤーが決める)
- a)騎兵ボーナスが3以上である。
- b)指揮フェーズで1ヶのサイコロを振り、その目が騎兵ボーナス以下である。
- 3)指揮官と部隊
- 指揮官は、指揮下にあるかどうかの他に、次の影響を直属の部隊に与える。
- A)賽の目修正
- 指揮官のボーナス(歩兵、騎兵、砲兵、士気)を賽の目に修正する。
プラスの値は良い方に、マイナスの値は悪い方に修正する。なお、指揮官が
部隊と同じHEXに居るかどうかで、次のようにする。
- a)同じHEXに居る場合は、ボーナス値そのまま。
- b)隣接するHEXに居る場合は、ボーナス値の半分(切り捨て)。
- c)上記以外は、修正なし。
- B)混乱・潰走時の同行
- 一緒のHEXに居た部隊が混乱・潰走した場合に、同行するか留まるかは
プレイヤーが決める。
- 4)指揮官の交代
- A)交代できる指揮官
- 指揮官がどんな状態でも(負傷などの有無に関わらず)、その部隊の参謀長、副官、
上位部隊の参謀、副官、または直属下位の指揮官が交代できる。どれを選ぶかは
プレイヤーが指揮フェーズで決める。
- B)交代指揮官の移動開始位置
- 交代指揮官が地図上に居る場合は、その位置から移動を開始する。
地図上に居ない(近隣の戦場に居る)場合は、進入口から移動を開始する。
- C)指揮官の兼任禁止
- 直属下位の指揮官が交代指揮官になった場合、今まで指揮していた下位指揮官、
部隊の指揮はできない。その下位指揮官・部隊は直ちに指揮下にないものと見なす。
正規の指揮官が復帰しない限り、交代指揮官は元の下位指揮官には戻れない。
(例)軍団長が負傷した場合、師団長の1人が交代できる。
しかし、今まで指揮していた師団は指揮下にない状態になる。
- D)正規指揮官の復帰
- 正規指揮官が負傷した場合には、賽の目のターンが経過した後は増援として進入口から
登場する。この正規指揮官が交代指揮官と同じHEXに入った後の最初の指揮フェーズで
指揮を引き継ぐ。交代指揮官は、元の任務に戻る。直属下位の指揮官だった場合には、
この時点で元の部隊、下位指揮官を指揮できる。
(例)軍団長が復帰した場合、師団長は元の師団を指揮できるようになる。
- 5)部隊の再編成
- ゲームの途中で最高指揮官直属の部隊を下位の指揮官に配属させることができる。
- A)編成の変更は指揮フェーズで決める。
- B)所属を変更した指揮官、部隊は、直属上位の指揮官がいるHEXに向かい、
到着するまでは指揮下にあるものと見なす。(増援と同じ)
- C)独立指揮官からの増援要請は、伝令ルールを使う。
- 4.追加ルール
- 4.1指揮範囲外ユニットの移動
- 1)連絡線が引ける場合(*1)
- A)最も近い敵と5HEX距離範囲の外側を移動する。
- B)上記以外の敵については敵ユニット周囲1HEXを通らない最短ルートを移動する。
- (*1)敵ユニット周囲1HEXを通らない指揮官とユニットの最短ルートである。
- 2)連絡線が引けない場合
- A)近くの敵がユニットの方向を向いていない場合は、その場に留まる。
- B)敵がユニットの方向を向いている場合は、敵から15HEX以上離れる位置まで後退する。
- 4.2一律の命令
- 1)総司令官またはその代理指揮官がいるHEXから12HEX以内にいる全部隊に対して、
一律の”目標と行動内容”を命令することができる。
- 2)この命令は目標を達成するか新しい一律の命令が出るまでは有効で、
その間は全部隊が指揮下にあるものと見なす。
- 例)”シャンポベール村へ後退せよ。後退方向に敵がいれば各自交戦して排除せよ。
- 99.検討内容
- 指揮範囲外ユニットの移動
- 指揮官の交代
- 指揮範囲外の部隊は指揮下にない
【補足】
- 1)指揮範囲の大きさを区別した理由は、次の通り。
- A)国別にしたのは、フランス軍の優位を模擬する為。
- B)正規の指揮官よりも交代を狭くしたのは、交代による混乱を模擬する為。
- 2)軽騎兵指揮官は、積極的な性格を模擬する事とプレイ時間を短くする事の
バランスを考えて、有能な指揮官に限定した。
- 3)指揮官のボーナスを隣接HEXまで拡張したのは、指揮官が先頭に立たなくても
良い影響を与える事を模擬する為。
- 4)交代指揮官が地図上に居ない場合を明記したのは、ライプツィヒの戦いのような広域の
戦場の場合を想定している。
- 5)部隊の再編成は、直属部隊に限定する。指揮下の軍団、師団などを解体・再編成する
ことは模擬しない。普通のバタイユゲームは1日の戦いなので、大規模な再編成はない為。