方陣を調べている中で大隊の編成と呼称に混乱しやすい記述があるので、
後のためにメモしておく。
1.混乱の内容
管理上は1ケ大隊(Battalion)が6から8ケ中隊(Company)から構成される。
しかし、方陣の説明で大隊が4つのDivision(普通は師団を意味するが、ここでは違う意味)で構成されたり、
1つのDivisionが2つPlatoon(普通は小隊を意味するが、ここでは違う意味)で構成される。
現代NATO式では次の順に規模が大きくなるので(右に行くほど規模が大きい)、上記と合わない。
分隊(Squad)<小隊(Platoon)<中隊(Company)<大隊(Battalion)
<連隊(Regiment)<旅団(Brigade)<師団(Division)
2.混乱の原因
フランス革命前後のフランス軍は、戦術上の部隊単位である大隊の構成要素を
管理上と運用時では別の呼称を使っていた為である。
戦場での運用時は大隊を3から4つのDivisionに分割して動かす。1つのDivisionは2つのPlatoonから構成される。
このPlatoonが管理上のCompanyと同じ中隊である。
分かりやすく言えば、2ケ中隊をDivisionとして先任大尉が指揮し、大隊長は3から4人の先任大尉に命令を下す。
一度に6~8人の中隊長(大尉)に命令するよりも指揮しやすい。
上位部隊 | 1Battalion | 1Division | 1Company | 1Half-Company | 1Section |
管理上の所属部隊 | 6~8Company | なし | 2Half-Company(小隊) | 2Section(分隊) | 2Squad(班) |
運用時の所属部隊 | 3~4Division | 2Platoon | なし | なし | なし |
3.参考資料
Napoleon’s Infantry Handbookから
第143項 Tactical composition of a battalion
第165項 Infantry squares
<個人的な感想>
時代や国によって考え方が違うので、勘違いしやすい。
管理と運用を分けるのは、ある意味で合理的かもしれない。(煩雑な管理体系に縛られない)
なお、陸上自衛隊では分隊と班は同程度の規模らしく(違いが良くわからない)、
上記のSquadは組と訳した方が良いのかもしれない。
・陸上自衛隊管理部