前回監察官を調べた時に出てきた栄誉礼について、気になったので調べてみた。
Napoleon’s Infantry Handbookの項番139によれば、要塞・駐屯地に来訪した際に以下の基準がある。
ランク | 整列する歩兵 | 同行する護衛隊の規模 | 栄誉礼 |
ナポレオン | 駐屯軍の半分 | 各連隊から1ヶ大隊(大佐が指揮) | あり&捧げ銃 |
帝国高官(*1)か大公(*2) | 駐屯軍の1/4 | 100人(大尉が指揮) | あり&捧げ銃 |
大臣 | 規定なし(*3) | 60人(大尉が指揮) | あり&捧げ銃 |
元帥 | 規定なし(*3) | 50人(*4) | あり&捧げ銃 |
高級将校(*5)か監察官 | 規定なし(*3) | 50人(*4) | あり&控え銃 |
少将 | なし | 本部の護衛(*6)、但し擲弾兵 | なし |
准将 | なし | 本部の護衛(*6)、但し通常歩兵 | なし |
大佐 | なし | 歩哨1人(*7) | なし |
中佐以下 | なし | なし | なし |
(*1)Grand Dignitaries of the French Empire 1806年では7人のみ。
(*2)Prince 1806年では10人のみ(その中の4人は上記(*1)と重複する)。
(*3)帝国高官や大公より小規模と思われる。
(*4)規定がないので、部隊規模から小隊長の中尉でも良いと思われる。
(*5)Grand Officier 1806年では8人のみ(その中の4人は上記(*1)か(*2)と重複する)。
Colonel Général 1806年では8人のみ(その中の4人は元帥と重複する)。
(*6)将軍個人ではなく本部の護衛が認められている。規模は規定がない。
(*7)歩哨は来訪する少佐以上に対して捧げ銃(下図左)をする。大尉以下は控え銃(下図右)をする。
<個人的な感想>
ナポレオンに次ぐ待遇を受ける帝国高官か大公の中で軍人なのは、1806年時点で
義弟のミュラ元帥、参謀長のベルティエ元帥、ベルナドット元帥である。
ベルティエ元帥はナポレオンと同行する事が多いので、単独で栄誉礼を受けるのは
ミュラ元帥とベルナドット元帥である。ミュラはナポレオンの妹の旦那であるので、
ナポレオンの家族扱いとして割り切りができるが、ベルナドット元帥は違う。
これでは、他の元帥から嫉妬されるのは当然かもしれない。