イギリス本土への侵攻を諦めたナポレオンは、イギリス遠征軍にハノーファー駐留軍を
加えた”大陸軍”を編成し、ドイツ南部に侵攻したオーストリア軍に向かった。
9月1日にハノーファーを出発したベルナドットの軍団(第1軍団)は、9月25日には
アシャッフェンブルク(Aschaffenburg)に到着した。9月25日時点の両軍の主な配置は以下の通り。
ベルナドットの第1軍団(合計14,668人)のOOBは以下の通り。
リボー少将(Rivaud)*1の歩兵師団5659人(戦列歩兵第8、45,54連隊)
ドルエ少将(Drouet)*2の歩兵師団6177人(軽歩兵第27連隊、戦列歩兵第94,95連隊)
ケラーマン少将(Kellermann)の軽騎兵師団1666騎(ユサール第2,4,5連隊、猟騎兵第5連隊)
エブレ少将(Eblé)の砲兵隊1166人(騎馬砲兵4ヶ中隊、徒歩砲兵3ヶ中隊、荷馬車6ヶ中隊、
舟橋1ヶ中隊、職人半ヶ中隊)で6ポンドカノン砲2門、3ポンドカノン砲20門、5.75インチ榴弾砲5門の
合計27門。
*1 ド・ラ・ラフィニャール(de La Raffinière)またはラフィニャール伯爵とも呼ばれる。
*2 デルロン(d’Erlon)またはエルロン伯爵とも呼ばれる。
(注)大砲は軽くて扱い易い(機動力のある)3ポンドカノン砲が主力である。これは、フランス軍の正規な
大砲(8、6、4ポンドカノン砲)ではなく、オーストリア軍から捕獲したものと思われる。
なお、イギリス遠征軍の軍団には正規の大砲が配備されている。例えば、ダヴーの第3軍団は
8ポンドカノン砲14門、4ポンドカノン砲6門、6インチ榴弾砲4門の合計24門である。
フランス軍の大砲の種類についてはこちら、騎馬砲兵と徒歩砲兵についてはこちらを参照。
<個人的な感想>
イギリス遠征軍は主力部隊であるので、フランス軍正規の大砲が配備されるのは当然である。
ベルナドットの軍団は留守部隊なので後回しにされ、大砲が足りないのでオーストリア軍から捕獲
したものが使われたと推測する。特にナポレオンに悪意があったとは思われない・・・。
6ポンドカノン砲、5.75インチ榴弾砲は従来の8ポンドカノン砲、6インチ榴弾砲に代わる新型である。