松浦さんがブログで”縦隊は白兵戦を行う際に使用される隊形ではない?”と
書かれていたので、自分なりに調査した結果を以下に示す。
1.結論
攻撃隊形は縦隊か混合隊形が主である。横隊は使われても頻度は少ない。
2.根拠
2.1概要
Imperial Bayonetsのp153から第6章”革命期フランス軍の戦術:攻撃縦隊とその他の
戦闘における陣形”の記載があり、その中で縦隊と混合隊形は取り上げられているが
横隊の記載はない。
2.2詳細
(1)p162、163に革命期の戦闘時の隊形を纏めた表がある。
p162を下図に引用
意訳すると
これらの様々な戦術がどの程度頻繁に使用されたかは特定が難しいが、
ジョン・リン博士は『共和国の銃剣』の中で、1792年から1794年の間に戦闘で使用された
様々な隊形の事例をリストアップしている。このリストは表37にまとめられている。
p163を下図に引用
横隊は3例、縦隊は35例(枠内合計)である。
(2)p172、173に縦隊のよる攻撃の例としてグヴィオン・サン=シール元帥の記述がある。
p172、173を下図に引用
意訳すると
グヴィオン・サン=シールは一般的な観点から、典型的な攻撃について次のように述べている。(注0)
4個戦列歩兵連隊と1個軽歩兵連隊からなる師団が、敵戦列の正面攻撃を任されているとする。
私が指示する攻撃隊列は以下の通りである。
・軽歩兵3個大隊は二列に隊列を組み、互いに2~3歩の距離を置いて前進する。
この隊列は、師団の他の12個大隊の前方を覆い、その動きを隠蔽する。
・攻撃開始時には、12個大隊は大隊毎に縦隊を形成し、各縦隊は4個デヴィジョン(注1)
(2個ペロトン(注2) )で構成され、5歩間隔で配置される。
・攻撃の合図が発せられると、軽歩兵は縦隊の前方150歩に立って、活発に前進し、援護射撃を開始する。
・12の縦隊はパ・ド・マヌーヴル(毎分120歩 – パ・ド・チャージと同じ)で追従し、
軽歩兵が敵から50歩の地点に到達した時点で停止する。
・敵が持ちこたえた場合、散兵は射撃を倍加させる。
・密集縦隊(最初のデヴィジョンは銃剣を下げ、残りの3つのデヴィジョンは肩に武器を携え)は速度を倍増させ、
散兵の間を抜けてペロトンを組んで敵に銃剣突撃を行う。
・騎兵が突撃してきた場合、縦隊は互いに接触するまで隊列を密着させる。
注0)分かり易くする為に以下の単語は変更し、1個連隊は3個大隊である。
半旅団(demi-brigades) → 連隊 :同じ事で呼び方が違う。革命期はregimentsをdemi-brigadesと呼称した。
注1)デヴィジョンは横に並んだ2ケ中隊のこと。NATO用語のDivision(師団)ではない。
注2)ペロトンは中隊のこと。NATO用語のPlatoon(小隊)ではない。
(3)混合隊形については、以前に整理したナポレオンの混合隊形を参照。
<個人的な感想>
縦隊と混合隊形のどちらが多用されたかについては記載がないが、
会戦時の状況によるものと思う。



