Velites部隊について

MustAttackの日記 試訳「La Garde Avance!」ヒストリカルノートにて
nagunaguさんが和訳されたものを読ませて頂いた。
その中でVelitesの注記(猟兵の一種らしい)があったので調べてみた。

1.Velitesとは
(1)1804年1月(ナポレオンは第1執政だった)に創設され、親衛隊に所属する。(下図)

(2)若手が対象で入隊するには100フラン(約24万円)が必要であった。(下図下線部)
   →当時の労働者の年収が175万円なので約1.6ケ月分である。

(3)下図に記載されていように、ある程度の財産を持っている人の息子が入隊している。

(4)1806年9月には元の所属連隊(擲弾兵連隊など)から離れてフィジリエ連隊に編成変えとなる。(下図)

(5)その後Velitesの名前を持つ部隊は下図の2つの部隊で、実戦よりも警備の任務に就く。

2.参考文献
  ・Napoleon’s Old and Young Guard Infantry 上記(1)(3)(4)
  ・Officers and Soldiers of The French Imperial Guard 1804-1815のp4(上記(2))とp68(上記(5))
  ・元帥達はナポレオンに金で買われたか  上記(2)の円/当時のフラン換算、当時の労働者年収
  ・French Infantry of the Napoleonic Wars 下記voltigeurs

3.その他
  Velitesの名前の由来は共和制ローマの軍隊のVelitesであるらしい。明確な記載は見当たらなかったが、
  若手で経験の浅い兵士が対象である事が同じである。但し、兵士としての役割は違う。
  フランス軍親衛隊は中堅育成の目的に対して、ローマ軍は最前線の軽歩兵である。
  フランス軍にはvoltigeursという散開隊形を得意とする専門の中隊があるので、わざわざVelitesを作る必要はない。

<個人的な感想>
名目は「将来の親衛隊大隊の骨格を作る人材」と称しているが、お金持ちの息子を優遇する為の組織と思うのは
邪推だろうか・・・。入隊するのにお金が必要である点も気にかかる(普通は強制的に徴兵される)。
当時の親衛隊は最終兵器ともいうべき切り札で、実際の戦闘に投入する事は稀と思われるし。