特殊ルールの功罪

 バタイユゲームでは、基本ルールの他に特殊ルールが必ず付く。

この特殊ルールで、その戦い特有の状況を再現するのだが、初めて

バタイユゲームをプレイする人にはハードルが高いのかもしれない。

特殊ルールの功罪を考えた。

 

<功>

1)状況の再現性向上

 特に天候ルールは、大きな影響がある。これがないと、

 A)吹雪で道に迷ったフランス第7軍団がロシア軍砲兵に壊滅させられる

 B)雨・霧の中で英国コルボーン旅団がポーランド槍騎兵に壊滅させられる

 C)雷雨の中を苦労してリニーを攻撃するフランス軍

 D)暑くて騎兵の回復が長引くスペインの戦い

などが再現し難い。

 

2)各国歩兵の独自性を表現

 特に英国の軽歩兵中隊ルールは、反則的な射撃能力を持つ。フランス軍は

2回(軽歩兵中隊と所属大隊から)も横隊射撃を受ける事になり、かなり不利。

これは、ウエリントン公爵の発言”彼らは、いつものようにやって来て、いつもの

ように撃退された”を再現する・・・。フランス軍が正面から縦隊で攻撃するのは、

ほぼ自殺行為である。

更に英国歩兵は伏せの隊形が取れ、射撃防御が6も向上する反則的な防御

もあり、戦う前から勝てる気がしない・・・。

対照的にスペイン軍の一部は、モブ(無秩序な集団)隊形で、射撃を受ける度に

士気チェックが必要になる(損害がでなくても)。これは、ほぼ勝てそう。

 

<罪>

1)手間がかかる

 特に天候ルールは、各ターン毎にサイコロを振る場合もある。更に、天候に

応じて移動力、射撃力、見通し距離(LOSの最大HEX)、騎兵ボーナスの有無

などを修正する必要がある。この手間を面倒と思うか、当時の状況はこんな

ものかと楽しむかで好みが分かれるところ。

この記事を書いている外は雪が降っており、アイラウの戦いは移動するのも、

射撃するのも大変だっただろうと思い、個人的には天候ルールは楽しめる。

 

2)適用するルールが多種多量

 基本ルールでは、歩兵は平地で縦隊・横隊・散開(軽歩兵のみ)が選択でき、

敵軍防御射撃→自軍攻撃射撃→白兵戦と進む。しかし、英国軍との戦いでは、

英軍は伏せ隊形(元隊形は横隊)で軽歩兵中隊が前面にいる。ゲームの流れも、

敵軍防御射撃(軽歩兵中隊)(*1)→自軍攻撃射撃(*2)→軽歩兵中隊後退→

(*4)自軍前進→敵軍防御射撃(所属大隊)(*3)→白兵戦と進む。

 

 (*1)軽歩兵中隊の射撃力は12と平地での縦隊射撃防御力の2倍。

 (*2)平地での軽歩兵中隊の射撃防御力は18と縦隊射撃力の3倍。

 (*3)基本ルールでは射撃できない。英軍横隊4戦力の射撃力は16と

  平地での縦隊射撃防御力の2.6倍。

 どれもフランス軍からみて反則的なルール。

  (*4)白兵戦前の後退は臨機射撃がありませんでした。2016/1/30 20:30修正。

 

 基本ルールでは、騎兵突撃に対して方陣を組むか踏み止まりの選択ができる。

しかし、スペイン軍の一部は、モブ(無秩序な集団)隊形で踏み止まりしか選択

できない。

 

 このように色々なルールが沢山あり、国籍が違う軍隊が集まる戦いでは、

その国籍に応じて適用するルールを参照する必要があるので、大変。

ライプチツヒの戦いをプレイするのが大変なのも、この辺に原因がある。

 

<個人的感想>

 ナポレオン戦争を詳細な戦術レベルで再現するのが、バタイユゲームの

目的であり魅力である。その為、ある程度の習熟がないと本来の良さが

分からないのは仕方がない(将棋とかチェスも同じ)と思う。

特殊ルールも必要なので付けているものなので、時間がある人は、

少し我慢して小規模の戦いからプレイする事をお薦めする。

(Marshal Enterprisesのフリーゲーム*1を推奨)

 

 ただ、COA社の基本ルール30年度版は、好みにもよるが、再現性を

追及するあまり、プレイする楽しさを奪っているように思う。

 

(*1)2017/3/28でハレ(Halle)の戦いがホームページから削除されたので、修正。(2017/6/3)

 

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