つづき
(3)補給・消耗ルール
簡易化する為に、補給-消耗の順に判定して、その後は補給判定をしない(戦闘時など)。
(A)補給
オリジナルゲームは自国の大都市を補給源として、最大3HEXまで補給できる。
また味方部隊が補給中なら、そこから更に3HEX補給できる。
これでは、補給網を作るのに戦闘部隊を派遣して適切な位置に配置する必要がある。
変更案では、以下のようにして補給網を作る手間を省略する。
→この辺りは兵站参謀の仕事で、戦争指導部が悩む仕事ではない。
自国の大都市を補給源として、該当部隊まで平地か河川HEXで連続線が引かれていれば、
補給ありとする。敵部隊とその隣接HEXは、この補給線を遮断できる。
自国に限らず大都市に籠城する場合は、その部隊は補給ありとする(補給品を備蓄していると扱う)。
小都市は、オリジナルルール通りに補給線が接続できなければ、補給切れと扱う。
戦闘に与える影響はオリジナルルール通りに、補給なしなら攻撃時のみ戦力を半減して戦闘判定する。
(B)消耗
オリジナルゲームは補給ありの部隊でも一律消耗判定対象になる。
しかし、ロシアの焦土戦術などの特殊な状況を除外すれば、自然に消耗するのは納得できない。
変更案では次の区分に分けて消耗率を決めて、消耗戦力を計算する。
自軍の総消耗戦力 = 自軍の総保有戦力 ✕ 下記の消耗率(1ケ月当たり)
0.5戦力単位で切り上げ、その分を総保有戦力から引く。
保有戦力の大きい部隊から減らし、歩兵3に対して騎兵1の割合で均等に割り当てる。
0.5戦力減らした部隊には、専用のマーカーを置く。状態マーカーの1を代用する。
不毛地帯は、次の地域・条件を対象とする。それ以外は、一般地帯とする。
・ロシア領土でロシア軍が焦土戦術を使う場合
冬季は11月から2月までとする。
一般地帯 補給あり | 一般地帯 補給なし | 不毛地帯(*1) | ||||
季節 | 通常 | 冬季 | 通常 | 冬季 | 通常 | 冬季 |
消耗率 | 0 | 0.06 | 0.07 | 0.13 | 0.21 | 0.38 |
(*1)不毛地帯は、補給”あり”と”なし”は同じ扱い。以降も同様。
不毛地帯の通常消耗率は、1812年ナポレオンのロシア遠征往路のデータを基にした。
ビルニュスを出発した時に34万人の戦力が、78日後にモスクワ着いた時は10万人になっていた。
但し、途中のスモレンスク、ボロディノで5万人の戦傷者を出しているので、その分を補正する。
(34万人-10万人-5万人) ÷ 78日間 ✕ 30日 ÷ 34万人 = 0.21
一般地帯の消耗率は、”損耗なしと不毛地帯の差”を3等分した値を使った。
→3の値は根拠のある数値ではなく、感覚的に決めたもの。
不毛地帯の冬季消耗率は、ロシア遠征復路のデータを基にした。
モスクワを出発した時に10万人の戦力が、20日後にスモレンスク着いた時は3.7万人になっていた。
但し、途中のヴャジマの戦いやコサックの追撃で3.8万人の戦傷者を出しているので、その分を補正する。
(10万人-3.7万人-3.8万人) ÷ 20日間 ✕ 30日 ÷ 10万人 = 0.38
一般地帯の補給なし冬季消耗率は、不毛地帯の比率を参考に決めた。
0.07 ✕ ( 0.38÷0.21 ) = 0.13
一般地帯の補給あり冬季消耗率は、一般地帯の補給なし(冬季-通常)消耗率の差分を冬季の影響とした。
0 + (0.13-0.07) = 0.06
(C)移動力への影響
オリジナルゲームは補給有無、冬季かどうかで各々最大1HEXの違いがある(強行軍の判定時)。
変更案では兵站の状態で、次の区分に分ける。
一般地帯 補給あり | 一般地帯 補給なし | 不毛地帯(*1) | ||||
季節 | 通常 | 冬季 | 通常 | 冬季 | 通常 | 冬季 |
フランス | 10 | 9 | 8 | 7 | 5 | 4 |
連合国 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 |
不毛地帯の通常移動力は、1812年ナポレオンのロシア遠征往路のデータを基にした。
ビルニュスとモスクワ間の893kmを78日で移動した。
893km ÷ 78日間 ✕ 30日 ÷ 64km = 5.4(HEX/Month)
なお、ロシア軍が不毛地帯に居る場合は、フランス軍と同じ移動力とする。
→1812年ナポレオンのロシア遠征では、ロシア軍はフランス軍と付かず離れずで移動した為。
一般地帯の補給なし通常移動力は、消耗と同様に”補給ありと不毛地帯の差”を3等分した値を使った。
冬季移動力は、オリジナルゲームと同様に通常-1とした。
次回へつづく
<個人的な感想>
消耗に関連した今回のデータは、推測が多いのでプレイして評価する必要がある。