nagunaguさん紹介の本『ナポレオンに立ち向かうロシア』のクルムの戦いに
関係する部分を読むと、ヴュルテンベルグ公オイゲン中将の評価が高く、
分遣隊司令官のオステルマン・トルストイ中将の評価はとても低い。
下記は上記本の一部を意訳したもの。
”特に危険に直面したのは、8月27日の夕方に軍が撤退を開始したときにオステルマンが受けた命令だった。
この命令では、オステルマンは、幹線道路を下るのが危険すぎると判断した場合、テプリッツ幹線道路を放棄して
エルツ山地を越えて撤退することが認められていた。神経質になっていたオステルマンは必然的にこれを信じ、
全軍に幹線道路から山岳地帯へ撤退するよう命じた。
この命令が実行されていたら、悲惨な結果になっていたに違いない。彼の部下はディッポルディスヴァルデ街道の
交通渋滞に巻き込まれていただろう。ヴァンダムは、抵抗されることなくテプリッツ渓谷へ自由に行軍していただろう。
連合軍の大義を救ったのは、オイゲンがオステルマンの命令に断固として従わなかったことだ。
オイゲンは、ヴァンダムが谷に入り、エルツ山地からの連合軍の退路を塞ぐのを阻止する必要があることを
非常に明確に理解していた。オステルマンはエルモロフの支援を受けていた。
エルモロフは地域の優れた地図を持ち、地形を研究して軍事作戦への影響を理解していた。
しかし、決定的な発言力を持っていたのはオイゲンだった。皇帝の従弟でもある彼は、容易には屈服しなかった。
オイゲンが全ての責任を取ると申し出ると、オステルマンは折れ、
8月28日にテプリッツ街道を通って撤退する計画が立てられた。”
ATOのバタイユゲームLa Bataille de Kulmでは、下図枠内のようにトルストイ中将の評価が高く、
オイゲン中将(Wurttenberg)の評価は高くない。
指揮官ユニットの評価項目は下図の通りで数値の大きい方が能力が高く、部隊に同行すると
戦闘時に良い方向へ修正できる。Meleeは白兵戦闘、Cavalryは騎兵戦闘、Artilleryは砲撃、
Moraleは士気高揚に使う。
<個人的な感想>
ATOのバタイユゲーム製作者はトルストイ中将を高く評価している。
上記の評価項目も高いし、ゲームの表紙にも使っている。
しかし、ゲームの付録記事”Kulm Vandamme’s Ordeal”でも上記の意訳内容と同様な事が書かれているので、
史実ではオイゲン中将の方がトルストイ中将より高い評価を得ていると思われる。
自作のVASSALモジュールではオイゲン中将とトルストイ中将は以下に変更する予定。
オイゲン中将 Melee=3,Cavalry=0,Artillery=0,Morale=4
トルストイ中将 Melee=1,Cavalry=1,Artillery=1,Morale=-1