バウツェンの戦い本戦での指揮ルール検討(3/E)

つづき

4.ロシア軍の場合
(1)問題点その1
   指揮系統が複雑で軍司令官と軍団長の間に指揮官が1人いる(下記*印)。
   軍団長が攻勢のために前進するには上長の指揮範囲にいる必要があるか、
   上長から伝令による命令を受ける必要がある。
   しかし、攻勢に出る判断は軍司令官が行うので、この上長も軍司令官の
   指揮範囲にいるか伝令による命令を受ける必要がある。   

   軍司令官:ヴィトゲンシュテイン大将
    第3軍(実際は軍団):バルクライ・ド・トーリ大将
    左翼:ミロラドヴィチ 大将*
      第2軍団:ヴィテンブルク中将
    第2線配備軍団:ゴルチャコフ中将*
      第1軍団:ベルク中将
      第2軍団:サン・プリースト中将
    第3線配備軍団:コンスタンティン大公*
      第1軍団:ラエフスキー中将
      第2軍団:ガリツィン中将
      近衛軍団:ラブロフ中将
      砲兵軍団:ジャックエル中将
   上記OOBは、こちらを参照したが、第3線配備軍団はゲームの初期配置が合わないので
   下図のように変更した(臨時に再編成したとする)。

(2)対策
   なし。中間司令官を省略する事も考えたが、実際も複雑な命令系統の下で
   戦いが行われたので、そのままとする。
   →貴族階級が力を持っていた時代でもあり、軍隊の序列は固く守られていたと考える。

   指揮範囲にいない部下に対しては伝令による命令を活用する。
   例)第3線配備軍団第2軍団に対しては下記のように伝令を送る。
     A)軍司令官から第3線配備軍団長へ
     B)第3線配備軍団長から第2軍団長へ
     C)命令内容:指揮下の師団を前進させて、Kl JenkwitzからBaschutzまでの敵を攻撃せよ。
       →敵を駆逐するか別の命令が来るまでは軍団長は常に指揮範囲にあるものとして
        上記の2村間の地域を自由に移動できる。
     D)軍司令官からの命令が近衛軍団長へ届くには、上記A)B)の各段階で1ターンの
       時間がかかるので2ターン(40分)遅れる。
       →戦況を予測して早めに伝令を送る必要がある。(なかなか悩ましい)

(3)問題点その2
   戦場が広く軍司令官とその直属司令官の指揮範囲では軍団を自由に指揮できない。
   例1)軍司令官の指揮範囲にいる司令官は左翼:ミロラドヴィチ 大将(下図丸印)のみ。

      ミロラドヴィチ 大将の指揮範囲に第2軍団長(下図丸印)がいない。

   例2)第3線配備軍団長の指揮範囲(下図)にいる司令官で、その指揮範囲に
      師団または部隊を収めているものは砲兵軍団長だけである。

(4)対策
   なし。フランス軍のように戦域ごとに独立した指揮官を任命しようと考えたが、
   見送りにした。その理由は、以下の通り。
   A)史実では独立した指揮官はいなかった。
     →軍司令官のヴィトゲンシュテイン大将が全域を指揮していた。
   B)防御戦であれば、軍団長が指揮範囲外にいても問題ない。
     →軍団長が前進できないだけで、その指揮下の部隊は反撃できる。
     また、全域で防御戦を行う事が当初の作戦計画である。(今回のソロプレイ)
   C)伝令による命令の遅れは実戦でも生じたと思われる。
     →プレイ時間が長くなる欠点があるが、その当時の雰囲気を味わえる点が良い。

<個人的な感想>
ナポレオン戦争時代のロシア軍は命令伝達が遅く、柔軟な部隊機動で勝利した例は見当たらない。
アウステルリッツの戦いではフランス軍を半包囲しようと機動したが、その側面を
突かれて惨敗した。この時は各部隊が計画外の状況に上手く対応できずに混乱している。