バタイユゲームのワグラムの戦い戦闘序列には、歩兵連隊の
第4大隊だけで編成されている師団がある。1例が下図の
第2軍団第1師団と第2師団である(青枠で囲んだ部分)。
この部隊は、第3師団のように連隊の指揮下で行動するのではなく、
所属連隊とは離れて臨時の連隊(regimentではなく革命時代のdemi-brigade
が使われている)の指揮下で行動する。(OOB参照)
何故に、このような部隊編成になったのか疑問が生じる。
下記のWEBページによれば、スペイン戦役に多大の戦力を派遣しているので、
オーストリア戦役の戦力強化の為に編成された急造の部隊で、練度も低く、
装備も十分では無かったらしい(軽歩兵第9連隊第4大隊を例として記述している)。
・A French Infantry Battalion at Wagram, 1809
バタイユゲームでは、練度の低い事を表現する手段として、戦力と移動力を表記
する部分(例 5-8)の背景色を変えている。
軽歩兵 戦列歩兵
正規歩兵 青 白
第4大隊歩兵 白 茶
所属連隊を強化して部隊規模を大きくする代わりに、部隊規模を同じにして
師団数を増やした方が良いとの、ナポレオンの判断である。
ワグラムの戦いのフランス軍部隊の師団編成を表に纏めたものが、次の表である。
正規師団:フランス軍の正規兵で構成される師団。なお、親衛隊は除外している。
急造師団:フランス軍の第4大隊で構成される師団。
同盟師団:フランス軍の同盟軍で構成される師団。
軍団の番号 | 正規師団数 | 急造師団数 | 同盟師団数 |
2 | 1 | 2 | |
3 | 3 | 1 | |
4 | 3 | 1 | |
5 | 2 | ||
6 | 3 | ||
7 | 1 | ||
9 | 1 | 1 | |
11 | 2 | ||
合計 | 15 | 3 | 3 |
フランス軍の正規兵だけでは2〜3ヶ軍団に相当する戦力が不足したので、
急造師団や同盟軍の部隊で補ったようである。
<個人的な感想>
ナポレオンは個々の部隊の強化よりも、部隊数を多くする方を好んだようである。
その方が、部隊の分散・合流などの機動力を生かせると判断したのかも知れない。
しかし、ワグラムの戦いは、数の力で正面攻撃して勝利した。その意味では、
ナポレオンの思うような戦いではなかったのかも知れない。