増援部隊の到着を定刻から変更する必要性と実現方法を検討する。
1.必要性
そもそも史実の戦いを再現するのであれば、到着時刻を変更する必要はない。
個人的に推測すると、次の2点が理由として考えられる。
1)戦況の再現よりも、当時の指揮官の置かれた状況を再現する為。
増援部隊が予定時刻に到着する保証はないので、指揮官としては定刻到着を前提に
作戦・部隊運用をできない。その為、実際に増援部隊が到着するまでは、チャンスと見ても
予備部隊などを投入して予備部隊なしにするのは賭けである。
その悩ましさを再現する為には必要である。
2)史実と違う仮想シナリオの場合、定刻は存在しない為。
仮想シナリオなので、予想時刻は決められる。しかし、等間隔の時間通りに到着するのは
実戦でも少ない、そこで、遅延ルールを入れて、到着を不規則にするのは良い考えである。
2.実現方法
賽の目で到着時刻を前後するのは、順当な方法である。しかし、バタイユゲームの増援部隊到着時刻
で纏めたように、多数の方法に分ける必要性は少ないと考える。そこで、以下の点について順次検討する。
・主なパターンの到着時刻前後の確率比較(どの程度違うのか?)
・模擬する戦い固有の要素は何か、その必要性は?
1)確率比較
各パターンの到着確率は、以下の通りである。1行目の数値は定刻からのズレをターン数で表示している。
2行目以降は、各ターンの到着確率を%で表示している(小数点以下を四捨五入)。
例)パターン1A
定刻到着確率=33%、 1ターン遅延確率=22%、 ・・・・以下同様。
なお、パターン2C,4B,6Aは到着時刻の幅・離散程度が大きくて比較から除外した(評価が難しい)。
パターン | -2 | -1 | 0 | +1 | +2 | +3 | +4 | +5 | +6 | +7 | +8 | +9 |
1A | 0 | 0 | 33 | 22 | 15 | 10 | 7 | 4 | 3 | 2 | 1 | 1 |
1B | 0 | 0 | 17 | 44 | 32 | 5 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 |
1C | 0 | 0 | 50 | 50 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
1D | 0 | 17 | 17 | 0 | 17 | 17 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
1E French | 0 | 0 | 67 | 28 | 5 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
1E Prussia | 0 | 0 | 33 | 39 | 23 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
1E Prussia2 | 0 | 0 | 50 | 33 | 11 | 4 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
2A | 0 | 33 | 33 | 33 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
2B | 17 | 17 | 33 | 17 | 17 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
2C | ||||||||||||
3 French1 | 0 | 0 | 33 | 39 | 23 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
3 French2 | 0 | 0 | 17 | 39 | 30 | 10 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 |
3 Allied | 0 | 0 | 33 | 33 | 33 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
4A | 0 | 0 | 17 | 33 | 33 | 17 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
4B | ||||||||||||
4C | 14 | 17 | 39 | 17 | 14 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
5A | 0 | 0 | 17 | 28 | 28 | 19 | 8 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 |
5B | 0 | 0 | 50 | 33 | 14 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
5C | 0 | 0 | 33 | 33 | 28 | 6 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
6A | ||||||||||||
6B | 0 | 0 | 42 | 24 | 14 | 8 | 5 | 3 | 2 | 1 | 1 | 0 |
パターンによりバラツキが大きく、評価は難しい。次回以降で、グループ分けして個別に評価する。
2)戦いの固有要素
該当するシナリオを見て固有要素があるものは、以下の通り。
・パターン1B,1C :アスペルン・エスリングの戦いで、ドナウ河に掛けた舟橋の状態を反映・模擬している。
・パターン1D,2C,4B,4C,6A,6B :仮想的なシナリオで各々に不規則性を指定している。
上記以外のパターンは、単に不規則性を反映しているだけである。
<個人的な感想>
2.2)のパターンは、デザイナーの考えで決めたものと思うので、検討から除外する。それ以外は、
1つのパターンで良いと考える。違いがあるとすれば、国別にスケジュールを守れるだけの能力があるか
どうかで、”差別化するか/しないか”である。
次回以降の各パターンの検討では、到着遅延の統一ルール(上記2.2)以外のシナリオで共通に使える
ルール)に採用できるかどうかも検討する。プレイし易さの為には、できれば遅延ルールは共通化したい。