ベルナドットの混乱に対する個人的な疑問と解答(2/E)

前回のつづき

 

Q4の解答)何故、ダブー元帥はQ3の命令をベルナドット元帥に見せたのか?

 1)背景

   Q2の背景がある。ベルナドットがダブーの軍団を孤立化させる危険を避けて一緒に

  ナウムブルクに留まった事を知っている。

 2)解答

  Q3の命令には、ベルナドットがドルンブルクに行く事が必要であると明記されている。

 そこで、急いで彼に知らせたのである。また、自分もアポルダへの進軍を命令されているので

 共に出発の準備をする事になる。また、下図のように両軍団が位置すれば、アポルダとドルンブルクの

 距離は12km(速足で3時間の距離)なので、相互に支援できる。

 

Q5の解答)何故、ダブー元帥はベルナドット元帥への非難に参加しなかったのか?何故沈黙した?

 1)背景

   下記の”祖国は危機にあり”さんのWEBページにあるように、非難された点は3つある。

     ・1806年10月14日 ドルンブルク

   非難1)ベルナドットがナポレオンの命令に従わなかった。それは、

      ベルナドットがダブーと一緒に行軍しなかった事を指している。

   非難2)アウエルシュタットの戦いで苦戦中のダブーからの支援要請を断った。

   非難3)ベルナドットの行軍速度が遅い。その為、イエナ会戦に間に合わなかった。

 

 2)解答

  非難1)Q4の解答のように、ナポレオンの命令でベルナドットがドルンブルクに行く事が必要であると知っている。

   ダブーはアポルダへ行く命令を受けており、事実と違う命令が出されたと一緒になって非難することはできない。

 

  非難2)”祖国は危機にあり”さんの指摘のように、支援要請そのものがなかったと思う。

    苦戦中であり支援は欲しい。しかし、ナポレオンがベルナドット軍団と予備騎兵軍団を

    イエナの決戦に参加させようとしている事を知っている。その状況で支援要請を出すだろか。

    事実と違う支援要請が断られたと一緒になって非難することはできない。

 

  非難3)これはダブーも状況が分からないので、口出す事ではないと判断したと思う。

    なお、この件についても下記の”祖国は危機にあり”さんのWEBページにあるように、遅くはない。

    ・第1軍団の速度

 

<個人的な感想>

 ダブーは板挟みになったと思われる。

 1)忠誠を誓うナポレオン(及び参謀長を含めた取り巻き)の主張

   ベルナドットを非難する事で、ナポレオンの判断誤り(イエナにプロシア軍本隊がいる前提で

  各軍団に命令を出した)を隠そうとしている。

 2)嫌いなベルナドットの主張

   非難されているような事はない。出来るだけの努力をした。

 3)板挟みの項目

   非難1)ベルナドットがナポレオンの命令に従わなかった。

      ナポレオン達が言うような”ダブーと同行する”命令がない事を知っているが、

     それを言うとナポレオンに逆らう事になる。

   非難2)ダブーからの支援要請を断った。

      ナポレオン達が言うような”支援要請”は出していないが、それを言うとナポレオンに逆らう事になる。

   もし、ネイのようにベルナドットと親しい関係ならばナポレオンを諫めたかもしれない。

   しかし、嫌っている人間が忠誠を誓う上司から非難されているのを庇うのは・・・。

 

   その他)ベルナドット軍団のナウムブルク残留

       ベルナドットが自分を嫌っている事は分かっている。しかし、それを棚上げして

      ダブーの軍団が孤立化する危険を避ける為にナウムブルクに留まった事を知っている。

      自分がベルナドットを尋ねなければ、ベルナドットは予定通りにドルンブルクに行き、

      上記のような非難を浴びる事はなかった。

 4)ベルナドット元帥への非難に沈黙した理由

  上記の板挟みになった為である。ナポレオン達にもベルナドットの側にも立てない気持ちは理解できる。  

 

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