前回ティリ将軍を調べた時に出てきた監察官(inspecteur général)について、
気になったので調べてみた。
1.任務
A New and Enlarged Military Dictionaryによれば、毎月の初めに各連隊の
状態を調べて、任務に問題のある兵士がいないかチェックするのが任務である。
(タイミングは別にして、目的は現在の監察官と同じようである。)
2.管轄範囲
(1)兵科に限定される。歩兵監察官は、歩兵のみが監察対象である。
(2)特定の地域(例えばオランダ地区)に専念する事もあれば、地域に縛られない事もある。
(3)方面軍、軍団司令官からは独立しているようである。革命戦争では政府に、
ナポレオン戦争ではナポレオンの直轄である(間に統括責任者がいると思われる)。
3.年収
UN APERÇU HISTORIQUE SUR LA SOLDE によれば、以下の通り。一般階級の
少将(Généraux de division)と准将(Généraux de brigade)の年収は戦時の金額を参照した。
なお、監察官は職位なので任務が完了すると、一般階級に戻る。
監察官の階級 | 年収 | 一般階級 | 年収 |
Inspecteur en chef | 6480万円 | Généraux de division | 4500万円 |
Inspecteur aux revues | 3000万円 | Généraux de brigade | 3000万円 |
Sous-inspecteur 1級 | 2400万円 | ||
Sous-inspecteur 2級 | 2100万円 | ||
Sous-inspecteur 3級 | 1800万円 | Colonel 1級 | 1200万円 |
4.その他
Napoleon’s Infantry Handbookを読んでいたら、以下の権限や待遇があるとの事。
但し、(2)についてはInspecteur en chefの事と思われる。
(1)兵士の一時離隊許可を出せる(項番115)。普通は師団長(少将)の権限である。
(2)栄誉礼は、元帥と同等である。但し、捧げ銃はない(項番139)。
普通の師団長は栄誉礼を受ける資格がないので、1ランク上の扱いである。
<個人的な感想>
どの国でも、どの時代でも、人を取り締まる権限のある職位は優遇されるものである・・・。