バタイユゲームのME版プロシア1806ルールを見て、歩兵隊形の違いによる士気修正
(賽の目)が変わっている事に気付いた。COA版アウエルシュタット、ME版ハレ(WEB公開版)と
プロシア1806との比較を纏めてみた。
歩兵隊形 | 縦隊 | 横隊 | 散開 | 一般 | 行軍 | 方陣 | 混乱 | 潰走 |
アウエルシュタット | -12 | なし | なし | -12 | -12 | +6 | -15 | -18 |
ハレ | -12 | なし | なし | -6 | -18 | +6 | -3 | -6 |
プロシア1806 | なし | +3 | +3 | なし | -12 | +6 | -3 | -6 |
COA版アウエルシュタットはME版アウエルシュタットと同じものと思われるので、
何故Marshal Enterprises(ME)は、3ヶのゲームで変えたのだろうか?妄想してみる。
1)アウエルシュタットとハレ
プロシア軍がフランス軍に大敗した史実を再現する為に、士気修正をしたと思う。
特に白兵戦では、士気値が低いと攻撃できないし、防御時は混乱し易い。
A)平地での戦い
主に縦隊か横隊の隊形になるが、上記の修正表から横隊を採用する事になる。
これなら、賽の目修正がない。しかし、白兵戦の攻撃時戦力比の計算にて最大4戦力の
制限があるので、敵の戦力が5以上ならー6の賽の目修正が生じる。
プロシア軍は攻撃する機会が低くなるので、どうしても防御主体になる。
これは、ゲームデザインの目的かもしれない。ゲームとしてプロシア軍に不利にならない
ようにし、その上で防御主体の戦いを再現する為である。
B)建物、森林での戦い
一般隊形になり、-12かー6の賽の目修正がある。これによりプロシア軍は、
この地形での戦いを避けて平地での戦いをする事になる(地形を活用した防御ができない)。
特にアウエルシュタットのルールでは建物に居る敵を攻撃する場合には、指揮官の
同行が条件となっており、基本的に建物の戦いは難しいルールである。
これは、平地での戦いをさせる為のゲームデザインかもしれない。
C)散開・行軍・方陣
ハレの行軍ー18を除けば、標準の値である。
D)混乱・潰走
アウエルシュタットは標準の値から更にー12の修正があるので、プロシア軍は潰走し易い。
これは、アウエルシュタットでプロシア軍が大敗した史実を再現するゲームデザインと思う。
ハレでも大敗しているが、MEはやり過ぎと思って廃止したのかもしれない。
2)プロシア1806
横隊と散開隊形(+3の優遇)を除いて標準値にしている。史実の大敗を再現するよりも、
ゲームバランスを考えての見直しかもしれない。特に横隊については、ME版基本ルールの改訂(1)に
記載したように、横隊の弱点である側面からの攻撃が難しくなっている。
<個人的な感想>
シミュレーション精度とゲームバランスをどうするかは好みの問題である。1806年のプロシア軍の
ようにフランス軍に大敗した場合、シミュレーション精度を上げればプロシア軍が大敗するゲームになり、
ゲームバランスはプロシア軍が圧倒的不利になる。これではプロシア軍のプレイヤーは楽しくない。
しかし、両軍とも勝てるようなゲームバランスにすると、引き分ける確率が高くなり1806年戦役の
再現はできない。ME版プロシア1806は、後者のようにしたと感じた。それは1つの考えで、
ゲームとして面白いと思う。ソロプレの場合は、シミュレーション精度を上げるためにハレのような
賽の目修正をするか、プロシア1806の賽の目+ナポレオン補正とするか、どちらかを使う予定。