砲弾の補給ルールはCOA第2版から最新の30年度版に残っているが、マリールイズ版や
ME版には無くなっている。このルールは好き嫌いが分かれると思われる。自分の場合は、
手数を掛ける割には、面白みがないと感じたので好きになれない。
しかし、砲兵関係のルールを色々見直した際に、砲兵が強力になったと思われたので、
抑止するようなルールも必要と思い、見直す事にした。
1)基本的な考え方
A)MEに参加していたMr.Neylanは、次の理由で補給ルールを止めたと
Artillery_Ammunition?で述べている。
その考えに賛成なので、COA版のルールは踏襲しない。
・主要会戦で補給切れで困ったとの報告が見当たらない。
・軍団司令官の立場を模擬するので、補給ルールのような細かいレベルまでは
扱うべきでない。
B)砲撃による砲身加熱の為の射撃中止の事例も見当たらない。それに対して
毎分1回の射撃速度では砲身加熱の問題はないとの記載もあるので、加熱は考慮しない。
C)模擬するのは、人為的なミスによる一時的な弾薬切れである。
・ヒューマンエラーに関する講演によれば、興奮時は10%以上の確率でミスする。
・戦闘時は興奮状態であるので、ゲームでは10%前後の確率で補給ミスをすると扱う。
D)補給は弾薬車1台単位で行う。砲兵は何発撃てたのかで調べたデータを基に
主力の8ポンド砲、6ポンド砲の平均値で補給間隔(ターン数、1ターンは基準時間が
10分)を決める。なお、弾薬の種類(鉄球、散弾、榴弾など)の区別は考慮しない。
補給間隔=弾薬車の搭載量÷(発射速度×基準時間)
・8ポンド砲 107発÷(1.5(発/分)×10(分))=7
・6ポンド砲 152発÷(1.5(発/分)×10(分))=10
平均値は(7+10)÷2=8.5 ⇒9ターンとする。
E)補給の基準量は史実では以下となるが(*1)、補給切れの事例が無い事から、
追加補給は無制限にする。
(*1)個々の戦いで異なる。
砲兵中隊:大砲1門当たり2弾薬車。
軍団基地:上記と別に軍団全体の予備弾薬は全体の10%で、通常は11弾薬車。
軍基地:上記と別に軍全体の予備弾薬は全体の10%で、通常は36弾薬車。
F)他国の扱いは、上記のフランス軍と同じとする。厳密には、国により補給の量が
多少違うが、補給ルールが弾薬の消費を模擬するのではなく、人為的なミスによる
一時的な砲撃中止を模擬するものなので、これで良しとする。
2)ゲームでの砲弾補給の扱い
A)補給成否の判定タイミング
砲弾が0になってから補給するものとし、回復フェーズで判定する。
B)補給できる条件
次の条件を全て満足する場合に、補給できる。なお、砲兵の隊形は条件としないし
(射撃の人員と補給の人員は別部隊の為)、弾薬車(AAW)のユニットも使用しない。
a)砲兵と味方の策源の間に移動ルートがあれば、補給できる。移動ルートを
妨げる要因は下記とする。
・敵の影響地域(ZOC)。但し、味方の戦闘部隊が居れば、無視できる。
・砲兵が移動できない地形。河川、湿地など荷車が移動できないもの。
b)所属する指揮官の指揮範囲内にいる。
C)補給成否判定
サイコロ2ヶで、15以上なら補給成功、14以下なら失敗とする。
(賽の目で4/36=0.11で人為ミスの確率に近いので、ここを基準とする。)
D)初期、補給する弾薬の数
共に9回分とし、補給回数は無制限にする。
E)弾薬の消費
防御射撃、攻勢射撃、機会射撃の全てにおいて、各々1回の弾薬を消費する。
F)指揮官による賽の目補正
指揮官で砲兵ボーナスを持つ指揮官が近くに居る場合は、下記の賽の目補正をする。
・同じHEXに居る場合は、砲兵ボーナス値だけ賽の目に加算する。
・隣接HEXに居る場合は、砲兵ボーナス値÷2(切り捨て)だけ賽の目に加算する。
G)国による違いは無しとする。
<個人的感想>
以前に歩兵は何発撃てたのかで述べたように、歩兵のマスケット銃の弾丸の方が、
補給に気をつける必要がある。しかし、バタイユゲームでは、マスケット銃弾の補給
ルールはない。これは、マスケット銃の弾薬補給で述べたように小隊長(中尉か少尉)の
任務であり、軍団司令官の立場を模擬するゲームでは必要がない。従って、歩兵については、
補給ミスは模擬しない。同じ考えなら砲兵についても中隊長(大尉)の任務であるので、
模擬しないのが統一した考えである。しかし、見直し理由に述べたように、多少でも
砲兵の強力さを抑止するルールの必要さを感じたので、雰囲気重視で採用する事にした。
<リンク>