砲撃時の高低差の扱い(1)

 ME版、COA版とも砲撃時に大砲と目標との高低差があっても射程距離に変わりはない。

しかし、実際には高台にある砲兵は射程距離が延びるので、自家製ルールとして整理した。

1)基本的な考え方

 A)バタイユゲームの高低差

   バタイユゲームでは傾斜の表示はあるが、高低差についての数値表示はない。

  そこで、傾斜に囲まれたHEXを高台と扱う。その高さについては、ゲーム・場所に

  より色々なので、代表例の高さで統一する。模擬の精度としては正確ではないが、

  雰囲気重視の自家製ルールなので良しとする。

  代表例として、渡河戦のプレイテストで使ったラシンの戦いの高台を選ぶことにする。

  下図左側はバタイユゲームの地図抜粋、右側は1/25000地形図(1932年)の該当部分。

  赤線部分が対応している箇所で、地形図から高低差を3mと読み取った。

  そこで、代表例の高さを3mにする。

 B)高台から砲撃した場合の扱い

  a)着弾距離の違い

   砲兵の資料を捜しても見当たらないので、砲撃時の跳弾の扱いで使った弾道計算プログラムを

  使って試算する。水平射撃した場合の着弾距離の比較と高さ3mからの弾道を下記に示す。

  なお、Artillery Equipments of the Napoleonic Warsの数値と比較する為に、フランス軍の

  8ポンド砲のデータを使用している。

 第1回着弾距離第2回着弾距離第3回着弾距離
平地の場合367m563m641m
高さ3mから642m954mー (*1)

 (*1)着弾時の垂直方向の速度が平地射撃に比べて大きくなるので、跳弾は1回とした。

  根拠は以下の通り。

  Artillery Equipments of the Napoleonic Wars p28〜29によれば、砲撃時の仰角が

  1°を超えると跳弾は1回、2°を超えると跳弾はなし。

  弾道計算プログラムで試算すると、仰角1°の場合の着弾時の垂直方向速度は8.3m/s、

  3mの高台からの着弾時の垂直方向速度は5.2m/sなので、少なくとも1回は跳弾が発生

  すると推測した。

 

  b)命中精度の考慮

   以前に砲兵の射撃速度と精度で命中率を纏めたが、400〜800mまでは同じ命中率である。

  そこで、上記の着弾距離最大954mと比較して小さい方の800mを高台からの有効距離とする。

  平地に比べて160m伸びているが、バタイユゲームのHEXサイズ100mを考慮して、切捨てに

  より有効距離は100m伸びたものとする。

 

  c)他の大砲の扱い

    基本的には同じなので、一律に有効距離が100m伸びるものとする。他国の大砲も同じとする。

 

<個人的感想>

 厳密に考えると意味がないように思える。しかし、ゲームとして”ある程度は割り切る”のが基本的な

考えである。高低差を全く考慮しないのも1つの考えであり、高台にある砲兵は射程距離が延びる事を

多少なりとも模擬するのも1つの考えと思う。ほとんど雰囲気を楽しむだけではあるが・・・。

 

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