師団の解体でナポレオンに嫌気がさしたベルナドットは、
11月末には総裁政府に次の転属を希望した。
1)インド洋のモーリシャス島かレユニオン島の司令官
2)ギリシャのイオニア諸島の司令官
3)歩兵検閲官
4)ポルトガル方面軍所属の部隊指揮
5)上記のどれも駄目なら退役
同時にナポレオンに手紙を書いている。この時、ナポレオンは、革命戦争を全面的に
終了させるための多国籍会議(ラシュタット会議)に出席する為に、イタリアを離れていた。
”将軍、私が総裁政府に書いた手紙の写しを送ります。もし、私の退役が認められたら、
私の副官である、ヴィラッツ(Villate)とモウラン(Maurin)をイギリス方面軍に加えてください。
彼らは良い奴ですし、ライン軍の兵士達と同じ熱意で共和国に奉仕するでしょう。
彼らは大胆なだけではなく、私がそうしたように、優秀な才能の持ち主には従うでしょう。
私は貴方に不満をぶつけるにもかかわらず、貴方の偉大な才能を尊敬するのは変わりません。”
ヴィラッツは、この時27歳で10年後にフリートランドの戦いに第1軍団師団長として参戦した。
最終職位、叙勲:少将、伯爵、レジオンドヌール勲章(大十字)。
モウランは、この時26歳でサンブル・エ・ミューズ軍からの参謀副官で、ベンドルフの
夜襲にも参加。最終職位、叙勲:少将、男爵、レジオンドヌール勲章(司令官)。
2人とも将軍付の副官と思われ、将軍が退役すれば職がなくなるので、その斡旋を
したものと思われる。(部隊付の参謀副官は、部隊に同行する。)
<個人的感想>
手紙の最後にある文章は、逆に読めば、”ナポレオンには偉大な才能があるが、
好きになれない”という意味かも。辺境地の司令官を希望するのは、よっぽど
ナポレオンにウンザリしていたと思われる・・・。
才能は無いが人の良いジュールダンや、才能があり人間味のあるクレベール
などを上司に持って、彼らから信頼されていたサンブル・エ・ミューズ軍時代と違い、
非情で意地の悪いナポレオンの下では、仕事をしたくないか・・・。
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