パリでは、バラス達がオージェローではなく、ベルナドットに軍事クーデターの指揮を
執って貰うように勧誘したが断られた。結局、オージェローが9/4に12000人の兵士を
連れて五百人会に乗り込み、王党派のメンバーを逮捕した。議長のピシュグリュと
王党派総裁のバルテルミーも逮捕されたが、もう1人の総裁カルノーは脱出できて亡命した。
クーデター翌日の9/5には、ベルナドットは自分の師団参謀長に事件の簡略な連絡を入れた。
しかし、ナポレオンには、6日後の9/10に報告書を送った。その内容を意訳した。
”フリュクティドール18日について簡単に書きます。というのも、オージェロー将軍と
貴方の副官であるラヴァレットが十分な情報を送っていると思うからです。その間に、
逮捕された代議士達はロシュフォール港に向かっており、マダガスカル島に送られる事に
なっています。パリは静かです。人々は、初めは代議士の逮捕に、あまり関心がありませんでした。
その後、好奇心で街に人々が群がって来て、熱狂と”共和国万歳”が街中に初めて叫ばれました。
政府には共和制の精神を復活させるチャンスですが、正直で熱心な共和主義者で満ち溢れていると
思い込んでいます。不運にも、能力と使い道のない人々は、彼らの利益だけの為に動いています。
彼らは総裁政府がある大通りに出没し、良い職を得ようと画策しています。”
続きは次回に。
<個人的感想>
ベルナドットは、結構冷めた目で見ていたように思えるし、個人の利益追求に
駆け回る人々を苦々しく思っているのが分かる。
また、オージェローよりもベルナドットの方が広く知られているので、こちらの方が
クーデターの実行者としては適任とバラス達が思うのは納得。
ナポレオンの隠れた目的は、ベルナドットがどのように動くかを試す事にあったと思う。
ナポレオンに忠実ではなく、騎士道と共和主義を信奉しているように見えるが、実際に
政治的な誘惑(クーデターを指揮して成功すれば、政治・軍での発言力も増加して
ナポレオンに対抗できる可能性もある)に対して、個人的な野心を優先して、
ナポレオンに無断でバラス達と組むかどうか・・・。
実際には、政治的な活動はせずに報告をよこしたので、ナポレオンは彼を敵ではないと
判断したと思われる。
<リンク>