タリアメント川は川幅が約400mあり、対岸にはオーストリア軍が布陣しており、
橋もなかった。そこで、ナポレオンは、次のような計略を使った。
<欺瞞>
丁度お昼だったので、敵の射撃距離外に兵士を退却させて昼食の準備を
始めさせた。それを見たオーストリア軍も大部分がキャンプに戻って昼食の
準備を開始した。それを待っていたナポレオンは、食器などはそのままにして、
直ちに全部隊に渡河を開始させた。奇襲を受けたオーストリア軍は、防御に
失敗して500人の捕虜と数門の大砲を残して退却した。
<ベルナドットの訓示と模範>
1)渡河前に師団の兵士達に、以下の訓示を行って士気を高めさせた。
”兵士達よ、サンブル・エ・ミューズ軍から来た事を忘れるな。イタリア方面軍の
目が諸君達に注がれているぞ。”
2)川の水が未だ冷たく、先頭の連隊兵士が躊躇っていると、次の模範を示した。
ベルナドット:”川の水深は腰より高くないぞ。”
兵士達:”我々は馬に乗っていません!”
ベルナドット:馬を降りて川に入り、”前に進め!”
兵士達:後に付いて行きながら、”将軍万歳!”
<個人的感想>
この頃のナポレオンは賢い方法で戦っていた。後年なら力任せに正面突破を
命じて、勝利しても損害が多かったと思われる。
ベルナドット師団と既存のイタリア方面軍師団兵士との間には、所属軍について
ライバル意識があったようで、それを上手く利用した訓示と思われる。
<リンク>