1797年戦役のベルナドット(2)

 タリアメント川は川幅が約400mあり、対岸にはオーストリア軍が布陣しており、

橋もなかった。そこで、ナポレオンは、次のような計略を使った。

<欺瞞>

 丁度お昼だったので、敵の射撃距離外に兵士を退却させて昼食の準備を

始めさせた。それを見たオーストリア軍も大部分がキャンプに戻って昼食の

準備を開始した。それを待っていたナポレオンは、食器などはそのままにして、

直ちに全部隊に渡河を開始させた。奇襲を受けたオーストリア軍は、防御に

失敗して500人の捕虜と数門の大砲を残して退却した。

 

<ベルナドットの訓示と模範>

1)渡河前に師団の兵士達に、以下の訓示を行って士気を高めさせた。

”兵士達よ、サンブル・エ・ミューズ軍から来た事を忘れるな。イタリア方面軍の

目が諸君達に注がれているぞ。”

2)川の水が未だ冷たく、先頭の連隊兵士が躊躇っていると、次の模範を示した。

ベルナドット:”川の水深は腰より高くないぞ。”

兵士達:”我々は馬に乗っていません!”

ベルナドット:馬を降りて川に入り、”前に進め!”

兵士達:後に付いて行きながら、”将軍万歳!”

 

<個人的感想>

 この頃のナポレオンは賢い方法で戦っていた。後年なら力任せに正面突破を

命じて、勝利しても損害が多かったと思われる。

ベルナドット師団と既存のイタリア方面軍師団兵士との間には、所属軍について

ライバル意識があったようで、それを上手く利用した訓示と思われる。

 

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