今回の戦役では補給が悪く、マルソー、ベルナドット将軍とも苦しんだようだ。
2人が11月30日にジュールダン将軍に書いた手紙の一部を意訳してみた。
<マルソー将軍からジュールダン将軍へ>
私は嫌気がさしています。私の名誉と貴方への尊敬を考えなければ、軍務と
指揮を放り出すところです。
私が1人だったとしても、任務に失敗するよりは戦場で死んだ方がましです。
しかし、・・・
もはや指揮下の部隊を当てにできませんし、死ぬ覚悟はできています。
これで貴方は納得されると思います。敵よりも百倍難しいものがあります。
部下たちにはパンも靴もありません。道はくるぶしが隠れるほどの泥になっています。
<ベルナドット将軍からジュールダン将軍へ>
私がクロイツナハの町に入った時には無秩序が最高潮に達していました。
私の参謀、部隊長、その他の士官の助けにより、部分的に回復しました。
私は町長に命じて家々に明かりを点けさせました。夜襲を警戒する為です。
我々の相手であるクライファートは行動の人です。
到着すると同時に町の奪回を命じたようです。
弱体化した規律(それは邪悪な事を引き起こす)が、略奪を止めるために必要な
手段を将軍の手に与えなかったとしたら、軍務を続ける事が出来ません。
私は死を望むほど弱っていません。しかし、政府が断固とした手段を取らない限り、
フランス軍の将軍に降りかかる最良のものは、栄光ある死である事を確信しています。
私は胸が張り裂けそうです。私の手紙を読めば分かって貰えると思います。
貴方の友情が私の一番の慰めです。
<個人的感想>
食べ物がない為に軍の規律が乱れたようで、秩序好きのベルナドットでも
兵士をコントロールできない状況が伺われる。2人とも兵士達に食べ物を
配れないので、命令も効かない状況で共に死を覚悟した点は同じ。
ベルナドットが言っている”政府が断固とした手段”は、その時の総裁政府を
批判しているように思われる。1年前の1794年の戦役のサン・ジュストと
比べれば派遣議員の行動力は相当低下しており、適切な補給ができて
いなかったと思われる。既に”祖国は危機にあり”の状況ではない事もあり、
無理もないが・・・。
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