ネイとベルナドット(その4)

 ネイ大佐がサンブル・エ・ミューズ軍でベルナドット准将の部下だった頃の話で、

面白そうなものを見つけた。

 アルデンホーヘンの戦いの翌日(10/3)の夜に、ベルナドットはギーレーンの

宿屋で敵のヴェルネック中将の輸送ルートを見つけた。2〜3時間前に彼が

慌てて逃げ出した際に忘れていったもの。そこで、以下の命令をネイに出した。

<命令の意訳>

 君を部下に持つ将軍は幸運な男である。私は、それに大変感謝している。

引き続き敵を追撃せよ。私が使えるものは、何でも使える副司令官に任命する(*)。

友よ、やってみる価値のある大変重要な任務がある。実行の名誉と成果の恩恵は、

全て君のものだ。ヴェルネック中将が護衛付きで輸送している小麦粉を奪うのだ。

輸送隊はノイスとデュッセルドルフの渡河地点に向かっている。

たぶん、危険な事になる。しかし、それでも・・・。

 私は2〜3時間、休む事にする。君もそうした方が良い。明日は2人とも、

眠る時間がなくなるだろうから。

 

<地理的な位置と時間>

 激戦だったアルデンホーヘンの戦いの翌日の夜には40km離れた

ギーレーンまで追撃していた。その夜から、翌朝までに23km離れた

ノイスまで出かけて待ち伏せをする事になる。ベルナドットは、ネイに

増援として騎兵2ヶ連隊、歩兵2〜3ヶ中隊、大砲2門を送った。

その時は、ユーサル騎兵1ヶ連隊を指揮したと思われる。命令の(*)

で副司令官と言っているのは、上記の兵力がベルナドット部隊の半分

以上になる為と思われる事、および自主的な判断で行動しろと言って

いるのだろう。

大砲と徒歩歩兵が一緒なので、行軍速度は3〜4km/hになり、

ノイスまでは6〜8時間かかる。

Neuss

<奇襲>

 ノイスには1200人の騎兵が輸送隊を護衛していた。ネイは、一部のフランス兵を

おとりにして騎兵を誘い出そうとしたが、オーストリア軍は防衛に徹した。そこで、

ノイスの町中に入った時に、歩兵、砲兵、下馬した騎兵の統合部隊で奇襲した。

オーストリア軍は、いくつかの荷馬車に火を点け、残りと共に逃げようとしたが

失敗。ネイは全ての荷馬車を捕獲した。

翌朝(10/5)にもデュッセルドルフの城壁まで敵を追い払い、ノイスに戻った。

フランス軍の本隊(クレベール師団)がノイスに到着したのは、10/6であった。

 

<個人的感想>

 ネイへの命令は、かなり無茶なものと思う。兵士が休む時間も2〜3時間で、

23km夜行軍してから再び戦いになる。また、ベルナドットの部隊が前衛なので、

本隊は更に後方にあり、何かあってもネイに預けた以上の増援は難しい。

それでも、ネイならやれると考えて命令したのだろうが・・・。

ネイも見事に成し遂げたと思う。たぶん兵士達には不満と無茶の思いがあった筈

だが、それを引っ張って行き、歩兵・砲兵・騎兵の統合部隊で敵騎兵を町中で

撃破したのは、素晴らしい。

 

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