ナポレオン戦争時代の歩兵が射撃する速度と精度(命中率)に
ついて気になったので、少し調べてみた。
<発射速度>
著者によって数値にバラつきがある。単位は毎分当たりの射撃回数。
参考資料 | 普通の部隊 | 精鋭部隊 |
Napoeon’s Infantry Handbook | 3〜4 | 6 |
Wepons & Equipment of the Napoleonic Wars | 2〜3 | 5 |
サンプル動画の17秒当たりから1分27秒頃まで | 1 |
弾薬の節約(1人35発)と隊列毎に纏まって射撃する事を考えると、動画に
あるように毎分1射撃が平均として現実のように思われる。最適距離の136mを
前提にしても、狙いをつけて射撃するのに毎分5,6回は無理では・・・。
6〜7分で弾切れになるし・・・。
<命中率>
A)著者によって数値にバラつきがある。まずは、試験場での試射結果。
Wepons & Equipment of the Napoleonic Warsからの引用。
著者 | 距離(m) | 命中率(%) |
Muller | 91 | 40 |
Muller | 183 | 18 |
Muller | 274 | 15 |
Picard | 75 | 60 |
Picard | 150 | 40 |
Picard | 225 | 25 |
Mullerの距離が半端な数値である理由は、距離が100ヤード毎の為。
B)次に実戦での弾薬消費量と敵に与えた死傷者数から推定した
大雑把な命中率(距離などの条件はない)。
Marshal Enterprisesに参加していたNeylanの資料から引用。
著者 | 命中率(%) |
Hughes | 4 |
明記なし | 0.01〜3 |
上記A)の試射結果と桁が違うほど合わないのは、実戦でのプレッシャー、
無駄撃ち、遠距離からの射撃、環境条件など色々あるとの事。
結局、実際の戦いでの確かな命中率は求められない・・・。
<個人的感想>
実戦で射撃タイミングを決めるのは、中隊長である大尉である。適切な距離で
発砲するのは経験が必要であり、中隊の規律も必要と思う。
早ければ(距離が長ければ)相手に当たらないし、遅ければ相手から撃たれる。
規律が緩ければ、勝手に発砲する兵士がでるので、部隊としての有効な射撃が
できない。また、歩きながら撃つのと、待ち構えて撃つのでは、後者が有利そう・・・。
<リンク>