ネイは少将辞退の際に、上司のベルナドットにも手紙を書いている。
部下と言っても、前衛部隊長としてベルナドットの司令部から離れて
いる事が多い為と思われる。その手紙を意訳してみた。
”謹んで将軍閣下に申し上げます。
私の少将昇進辞退をなるべく速く陸軍大臣に転送願います。
この昇進は私を自惚れさせると共に、好意的な報告で私を
少将に推薦して頂き、とても深く感謝しております。
この件に関する私の行動を承認頂くと共に、私に対する
好意を続けて頂くようお願い致します。
誠実で永続的な献身を以て、常にお応え致します。”
上記の辞退から1ヶ月ほどたった5月頃に、ベルナドットは自分自身の
司令官辞任に際して、ネイの今後を心配した手紙を書いている。
その一部を意訳してみた。
”少将への昇進を辞退しつづける事は、総裁政府の要望に逆らう事に
なるので、そうしない方が良い。
親愛なるネイ、自分自身に問いかけ、誠実に答えること。
”良心の声(または良心の叫び)は、謙虚さを脇に置くよう命じていないか?”
謙虚も度を超すと、見当違いとなり、危険でもある。
私の退却(*)に、君はそれが見えるはずだ。(**)
私は父親のように書いているが、君は分かってくれるだろう。
強い友情と限りない尊敬で結ばれた男からのものである事を。”
(*)たぶん、この手紙を出した時の辞任を指している。
この時期、ベルナドットは、監視軍(ライン軍)の司令官になっていた。
しかし、名目上は4.8万人だが、実情は0.9万人の戦力で、
総裁政府に約束された戦闘部隊の増援を申し入れたが、何もしてくれなかった。
それで、ジュールダン将軍が辞任した時に、同じく辞任した。
(**)この文章の意味が分かり難い。病気を理由に辞任するのは、
政府に対する不満があると思われ、それは危険である。この状況を
良く見て、ネイは政府に警戒されるような行い(昇進辞退)を避けた方が
良いと言いたいのかもしれない。
<個人的感想>
手紙の末尾に美辞麗句を並べるのは定型フォーマットと
思われるが、それでもベルナドットはネイを心配している事が
感じられるし、2人は仲が良かったと思われる。
<リンク>