つづき
3.軍医の種類と階級
(1)種類
軍医はsurgeon(外科医)、doctor(外科以外全般)、pharmacist(薬剤医)の3種類に分かれる。
特に移動病院など戦場に近い所では外科医が圧倒的に多い。
(2)階級
上から順に以下となる。なお、中央・戦場とも軍管理委員の指揮下に入る。
(A)General inspector(意訳は軍医監)
軍医療の最高機関the General Directorate of the Health Serviceのメンバーである。
外科医3人、一般医2人、薬剤医1人から構成される。
(B)chief surgeon、chief doctor、chief pharmacist
軍または単独軍団に同行する救急隊の隊長である。(医師としても働く)
(C)major surgeon、major doctor、major pharmacist
1級surgeon,doctor,pharmacistとも呼ばれ師団に派遣される救急隊の隊長である。(医師としても働く)
なお、連隊救急隊の隊長はmajor surgeon(外科医)である。
(D)surgeon assistant major、doctor assistant major、pharmacist assistant major
2級surgeon,doctor,pharmacistとも呼ばれ正規の医師である。
(E)surgeon under major assistant 、pharmacist under major assistant
3級surgeon,pharmacistとも呼ばれ簡単な医療教育を受けた見習いである。
なお、doctorには3級がない。
4.救急医療隊の制服
(1)主な構成員
左から右へ
外科医療兵(制服)、薬剤医療兵(仕事着)、御者(騎乗の兵士)、獣医、
親衛隊軽騎兵の2級外科医(襟と袖口が赤)、Dominique-Jean Larrey、管理士官、
2級一般医(襟と袖口が黒)、2級薬剤医(襟と袖口が緑)
(2)その他
下図は医療兵の制服と担架で負傷者を搬送するイメージである。
5.補足
Larrey’s systemではsurgeon(外科医)しか記載がないが、実際はdoctor(外科以外全般)、
も含まれていた。師団派遣隊ではsurgeon6、doctor1、pharmacist4の構成もあった。
6.参考資料
・Napoleon’s Infantry Handbook 254 Military hospitals
・HEALTH OF THE ARMIES. THE ORGANIZATION OF THE SERVICE AND THE HOSPITALS (PART 1)
・HEALTH OF THE ARMIES. THE ORGANIZATION OF THE SERVICE AND THE HOSPITALS (PART 2)
・“To Afford the Wounded Speedy Assistance”
・The Revolutionary Flying Ambulance of Napoleon’s Surgeon
<個人的な感想>
救急体制についてはフランスが一番進んでいて、他の列強国ではほぼないに等しい事が驚く。
自由・平等・友愛を標榜した社会体制の良い影響かもしれない。