SF小説を読んだ。評判の良い”息吹”である。
一気には読めない作品集である。
楽しむ為に読むというよりも、考える為に読む感じがする。
何かを考えさせられるものが多い。
表題作の息吹は、自分には余りピンとこなかった・・・。
特に共感を覚えたのは、「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」である。
ディジタル生物に対する主人公アナの偏執狂に近い愛着は、
ゲームに夢中になる人の状態に近いかもしれない・・・と、一瞬思った。
特に感心した文章を以下にメモしておく。189ページ目。
だれにできる?狂信的なだれか。愛に突き動かされた人間だけ。
彼女自身のようなだれか。
2020年8月16日追記
同じ著者の”あなたの人生の物語”に収められている短編の
”地獄とは神の不在なり”の最後の文章も感心した。422ページ目。
そして、神に意識されることもなく、長い年月地獄に暮らしてきたいまも、
ニールは依然として神を愛している。
それが真の信仰の姿なのである。
<個人的な感想>
余りに”夢中になる”事は、周りから見ると異常に見える。
黒澤明の映画「野良犬」の中のセリフ(下記)を思い出した。
”狂犬の目には、真っ直ぐな道ばかり”