SF小説”三体”を読む

久しぶりにSF小説を読んだ。評判の良い”三体”である。
とても面白く、ヒューゴー賞長篇部門を獲得したのが分かる。
一気に読んでしまったが、特に感心した文章を以下にメモしておく。

第2部6の射撃手と農場主 81ページ目
射撃手仮説とはこうだ。
あるずば抜けた腕を持つ射撃手が、的に10cm間隔でひとつずつ穴をあける。
この的の表面には、2次元生物が住んでいる。2次元生物のある科学者が、
みずからの宇宙を観察した結果、ひとつの法則を発見する。
すなわち、”宇宙は10cmごとに必ず穴が空いている”。
射撃手の気まぐれを、彼らは宇宙の不変の法則だと考えたわけだ。

他方、農場主仮説は、ホラーっぽい色合いだ。
ある農場に七面鳥の群れがいて、農場主は毎朝11時に七面鳥に給餌する。
七面鳥のある科学者が、この現象を1年近く観察し続けたところ、
一度の例外もみつからなかった。そこで、七面鳥の科学者は、宇宙の法則を
発見したと確信する。
すなわち、”この宇宙では、毎朝11時に食べ物が出現する”。
科学者は、クリスマスの朝、この法則を七面鳥の世界に発表したが、
その日の午前11時に食べ物は現れず、農場主が全ての七面鳥を
捕まえて殺してしまった。

<個人的な感想>
我々は別の次元から見ているので、上記の科学者達の間違いが分かる。
しかし、その次元内でしか見られないなら、上記の法則を正しいと思う・・・。