先日行われたサッカーワールドカップの日本vsポーランド戦の終盤の中で、
西野監督が指示した戦術について、思う事があったので色々とメモしておく事にした。
1.西野監督が指示した戦術
(1)背景
(A)日本は0-1で負けていて、残り時間は約10分。戦況は膠着状態で、交代できる選手は
残り1人のみ。温存していた主力メンバーの中から2人(大迫、乾)使ったが、ベンチには
未だ温存している攻撃的な選手2人(本田、香川)、キャプテン(長谷部)、守備的な選手(昌子)が居た。
(B)相手のポーランドは予選突破の本命であったが、2連敗して敗退が決定済である。しかし、
プライドを掛けて戦っており、勝利が近い事と疲労からか積極的には攻めてこない。
(C)予選グループのもう2チームは、1-0でコロンビアがセネガルをリードしている。このままなら、
フェアプレイポイント(今回初めて知った)の差で日本がセネガルを抑えて予選突破が可能である。
(2)指示した戦術
最後の交代選手として、キャプテンの長谷部選手を入れて、下記の指示を徹底させた。
自陣の後方(バックライン)かサイドハーフでボールを回して、現状を維持する。攻めには行かない。
また、反則カード(イエローは2枚以上、レッドは禁止)を貰わないようにする。
(3)西野監督のポーランド戦後の会見コメント
万が一という状況は、このピッチ上でも考えられましたし、もちろん他会場でも万が一はあり得た。
そこで選択したのは、そのままの状態をキープすること。このピッチで万が一が起こらない状況を選びました。
2.賛否両論
(1)賛成派
結果が全てである。予選突破できる可能性の高い戦術を選ぶのは当然である。美しいとか、醜いとかの
問題ではない。観客からブーイングを浴びようが、見世物ではなく、勝負事である。
(2)反対派
見ていて失望する。自力で攻める姿勢が欲しい。何故、他人を当てにするのか?
サッカーは戦争でなく、スポーツである。ここまでする必要があるのか?
3.個人的な感想
(1)西野監督(63歳)の過去・現在・未来を妄想
(A)現在
初めに謝っておきます。正直、”老いぼれた”監督が冥途の土産に念願の代表監督に
なって、ロシア観光旅行に出かけたと思っていました。とりあえず、仕事をしている振り
さえ見せておけば、元々予選突破なんて期待されていない(3戦全敗が現実)ので、
代表監督の権力を多少とも味わっているのだろうと思っていました・・・。
(B)過去
ガンバ大阪では実績を残したが、その時には念願の日本代表監督にはなれなかった。
その後、ヴィッセル神戸での解任(J2降格が事実上決定)、名古屋グランパスでも良い成績が
残せないで契約満了(体裁は良いが、事実上の解雇)になり、実戦からは遠ざかっていた。
もう、代表監督になれる事はないと思っていました。技術委員長になったのは、隠居仕事で
お金が貰えるし、万一の場合に(オシム監督が倒れた時のように)代表監督になれる可能性が
少しあった為と思っていました。元々人との交渉が不得意な方であるし、腐った蜜柑のサッカー協会に
入った事にガッカリしていました。まさか、会長が自己の権限でハリル監督を解任して、西野監督を
誕生させるとは、予想もしていなかった・・・。
(C)未来
ワールドカップが終われば退任し、後任は森保コーチか手倉森コーチがなるだろうと思っていました。
この2人は未来があるので、今回の代表監督のような後始末の仕事(大多数の予想通り負けても、
非難は浴びる)は可哀想である。もう先のない”老いぼれた”監督が引き受けるのが妥当である。
(2)日本vsポーランド戦の終盤戦術を見てからの妄想修正
(A)”老いぼれ”ではありませんでした。失礼しました。現役の勝負師である。
勝負師だから、非難を覚悟の上で勝てる可能性の高い戦術を選択した。仕事をしている振りなら、
体裁の良い言葉で”リスクのない範囲で攻めていけ”と言えば済む。結果としてカンターを受けて
更に失点し、予選突破が出来なくても、”選手への指示が不十分でした”と言えば済む(よくある言い訳)。
(B)冥途の土産は、変わらない。
最後の戦いと思っているなら、将来の保身は棚上げして、今出来る事、やりたい事をする。
その意味で、今回の終盤戦術には納得できる。本人は、”不本意な選択”と言っているが、
”もう一度同じ状況になっても、同じ選択をする”必然で本望な選択と思う。
(C)ロシア観光旅行ではありませんでした。失礼しました。
西野監督の最後の戦役(ロシア戦役)である。本田、香川、岡崎選手などを選んだ時には、
大まかな指示をして、後は選手任せにできるベテランを選んだと思っていました。
タフな戦いになるのは、目に見えている。それなら、勢いがある若手よりも、どんな状況にでも
対応できるベテランを選ぶのは1つの見識である。今回のような異例の状況で、ピッチ内の
選手に指示・遂行できるのは、長谷部、長友選手のようなベテランでないと無理かもしれない。
(3)その他雑感
(A)今回の終盤戦術を見て、次のアニメのエピソードを思い出してしまった。
・宇宙戦艦ヤマト(1974年に放映された1作目、最近のリメイク版ではない)の冥王星会戦
・沖田艦長と古代守艦長の撤退命令に関する見解の相違
・若い古代艦長 :男だったら、戦って戦って1人でも多くの敵をやっつけて死ぬべきではありませんか。
・老練な沖田艦長:明日の為に、今日の屈辱に耐えるのだ。それが男だ。
→この沖田艦長のセリフは、何故かリメイクされた新作では削除されていた。
(B)上記見解の違いは、今回のワールドカップでの終盤戦術と同じと思う。
賛成派:沖田艦長に同意する。たぶん、今回のベテラン選手も。私も。
反対派:古代艦長に同意する。たぶん、今回の若い選手も。