砲兵の展開隊形から牽引隊形への確率を前回までに調べて見て、
見直しする必要があると思う。
1)見直しをする理由は、次の3点。
砲兵隊形変更は、大砲の重量と砲兵の能力により決まると思う。
A)12ポンド砲(約2トン)などは6ポンド砲(約1.4トン)に比べて重量が
ある為に、必要人員も多く、操作・移動に時間がかかる。
フランス軍がナポレオンの命令で8ポンド砲から6ポンド砲に切り替えたのも、
操作性が連合軍に比べて劣る為と言われている。
B)砲兵の能力は、下記の資料によればヨーロッパ主要国で同等だったとの事。
但し、指揮・運用はフランス軍が群を抜いていたとの記載もある。
C)徒歩砲兵と騎馬砲兵の違いは、操作員の移動手段が徒歩か騎馬の違いで、
大砲の操作・移動に違いはない。但し、国によっては、同じ6ポンド砲でも
騎兵用は軽量になっているものもある。下記資料参照。
2)見直し案
A)基本的な考え方
a)大砲の種類(重量別)、砲兵の能力(クラス別)で隊形変更の確率を変える。
b)近衛部隊は一般砲兵より能力を1クラス上にする。
c)一般砲兵でも、ナポレオン指揮の大陸軍に所属してる場合は能力を1クラス上にし、
別戦域で独立に戦ってる場合は、他のヨーロッパ主要国と同等にする。
(注)ナポレオンが戦場(または近くの戦域)に居る場合の、ゲームでの補正については、
別に検討する予定。
B)重量別の確率試算
フランス軍の各種大砲について、次の条件で試算する。
重量比2乗:6ポンド砲との比率の2乗。
重量の増加に比例した人員を投入しても、その人員のコミュニケーションが増加し、
その分操作性が悪くなると仮定する(人員の2乗に比例=重量比の2乗)。
→ソフトウェアプロジェクトのブルックスの法則を参考に仮定した。
確率案:6ポンド砲の隊形変更確率を0.5(ME版に合わせた)とし、
各砲の確率を6ポンド砲の隊形変更確率÷(重量比2乗×δ)とした値。
δは低減率で0.88を仮定。この値と上記の重量比2乗の考え方は、試算値を
評価して妥当かどうか判断する。
大砲の種類 | 重量 | 重量比2乗 | 確率案 |
12ポンド砲 | 1977 | 2.14 | 0.265 |
8ポンド砲 | 1537 | 1.36 | 0.419 |
6ポンド砲 | 1350 | 1.00 | 0.500 |
4ポンド砲 | 1021 | 0.57 | 0.769 |
C)隊形変更に必要な賽の目
今回は賽の目2ヶ(1ヶよりも細かく確率に合わせられるので)とし、上記の
確率に近いものを捜し基準値とすると、以下のようになる。
また、ナポレオン指揮の大陸軍に所属してる場合は、砲兵能力を1クラス上とし
(Nap補正)基準値に+6、親衛隊は更に1クラス上として+6を加算した。
大砲の種類 | 基準値 | Nap補正 | 親衛隊補正 |
12ポンド砲 | 23以下 | 33以下 | 43以下 |
8ポンド砲 | 33以下 | 43以下 | 53以下 |
6ポンド砲 | 36以下 | 46以下 | 56以下 |
4ポンド砲 | 53以下 | 63以下 | いつでも |
なお、親衛隊に4ポンド砲 は配属されないので、使うことはないと思われる。
3)見直し案の評価
6ポンド砲の基準値はME版に合わせており、6ポンド砲の親衛隊補正は1813年の
ME版の確率と一致しているので、問題はないと判断する。
上記の賽の目の妥当性は、オーストリア軍など連合軍の賽の目と比較して、
大きなずれが無いかどうかで再度判断する。また、ラシンの戦いを今回の見直しを
反映してプレイテストし、その結果で最終判断する。
<個人的感想>
重量を考慮した隊形変更も大体1クラス(賽の目+6)程度の違いなので、
良さそうに思える。なお、1クラスを賽の目+6としたは、ME版でフランス軍と
連合軍の能力差を賽の目1ヶで+1(賽の目2ヶなら+6)としている事に合わせた。
<リンク>