前回の続き。
<6ポンド砲徒歩砲兵中隊の射撃力試算>
1)基準時間は10分。
2)前回と同じ下記の資料を参考に、基準時間での6ポンド砲による損失を試算する。
・Artillery Equipments of the Napoleonic Wars
A)6ポンド砲1門が1回の射撃で与える死傷者数は平均7人(距離に比例するが、
その中でも低い値を採用)。
B)射撃速度は1から2回/分なので、平均値として1.5回/分を採用。
C)近距離(400mまで)の命中率は試験場では0.82だが、実戦では
もっと低くなるとの事で1桁低い0.082に仮定する。
D)徒歩砲兵中隊は8門。(厳密には、その中の2門は榴弾砲。ここは割り切って同じ8門で試算)
E)徒歩砲兵中隊が基準時間の射撃で与える死傷者数は、A)からD)と1)を掛け算したもので、
7×1.5×0.082×8×10=68.9人となる。
バタイユゲームの戦力は歩兵1戦力が100人なので、基準時間での射撃の命中率は、
68.9/100=0.689になる。
3)平地の射撃防御力を6として、バタイユゲームの射撃結果表で上記E)に近い命中率に
なる射撃力を捜すと15である。これを近距離の射撃力とする。
射撃比=15/6=2.5/1に対して1戦力の損害がでる賽の目は26以上で
確率は25/36=0.694である。
4)中距離の射撃力は、命中率が上記の資料で近距離の半分との事で、
近距離の半分とし15÷2=7.5で切り上げて8とする。
5)遠距離の射撃力は、命中率が上記の資料で中距離の40%との事で、
7.5×0.4=3とする。
<有効射程距離と命中率>
1)ME版の近距離は2HEX(200m)までだが、上記の資料では400mまでは命中率が
同じとの事で、今回の変更では近距離を1から4HEXとする。
2)ME版の中距離は3から5HEXまでだが、上記の資料では500から800mまでの
命中率が同じとの事で、今回の変更では5から8HEXとする。
3)上記の資料では、フランス軍6ポンド砲の有効射程距離が700mなので、
遠距離は未使用にする。
<ME版と今回変更版との諸元比較>
フランス軍6ポンド砲の徒歩砲兵中隊について、比較すると次のようになる。
なお、白兵戦力と士気は見直していない。
ME版 | 今回変更版 | |
短距離射撃力 | 16.4 | 15 |
中距離射撃力 | 11 | 8 |
長距離射撃力 | 6.7 | 未使用 |
短距離 | 2HEXまで | 4HEXまで |
中距離 | 3から5HEX | 5から7HEX |
有効射程 | 900m | 700m |
白兵戦力 | 2 | 2 |
士気 | 16 | 16 |
射撃力の平均を比較して見ると、次のようになる。
ME版 | 今回変更版 | |
4HEXまで | 13.7 | 15 |
7HEXまで | 11.3 | 12 |
有効射程まで | 10.3 | ー |
<今回変更版の評価>
短距離、中距離の射撃力が小さくなったが、各々の距離が伸びているので、
上記の射撃力平均表で見る通り、少し強化されている。平均値としては、
ME版と大きく変わらないので、良しと判断する。
<個人的感想>
試算した射撃力は、実戦での命中率に大きく左右され、採用した命中率は根拠のない
仮定の数値である。しかし、結果としてME版射撃力と大きなずれがないので、良いと
判断した。後は、プレイテストでの結果を見て判断する事になるが、既にブログに記載した
ラシンの戦いの結果は、史実と大きな差はない。また、プレイしていて、不当に砲兵が
強くは感じなかったので、総合的に見て今回の変更は問題ないと思う。
ただ、ME版よりも砲兵が強くなった感じはした。
<リンク>